Q2
○問い
父親(母親)の借金が多い場合、相続をしないことはできますか?
○答え
相続が始まった後、必要書類をそろえたうえ、相続の放棄、すなわち相続人の意思で相続しないことができます。
その場合、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に、家庭裁判所において「相続放棄の申述」の手続きを行い、審判を受ける必要があります(民法第915条、第938条)。
また、相続の放棄をすれば、その直系卑属に代襲相続権は発生しませんが、後順位の相続人が相続権を得ることになります。
なお、仮に3か月経過後に借金等が見つかり、相続放棄の期間を過ぎた場合であってもの、一定の要件を満たした場合には相続放棄をすることが可能な場合があるので、専門家にご相談ください。
Q3
○問い
相続開始前に子が死んだ場合に、その子の子(孫)の相続権はどうなりますか?
○答え
相続人である子又は兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡し、又は欠格・廃除により相続権を失った場合において、その者の子が代わって相続人になることを、代襲相続と言います(民法第887条第2項、第889条第2項)。
代襲される者を被代襲者、代襲する者を代襲者と呼びます。
相続人の直系卑属(子)の場合は、どこまでも代襲します(再代襲・再々代襲、民法第887条3項)。 兄弟姉妹の子は代襲相続できますが、その子の子までには代襲相続権はありません(民法第889条第2項)。
代襲者の相続分は、被代襲者と同じです。被代襲者が相続を放棄した時、代襲者は相続できません。代襲者が複数の場合、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数に応じて均等に分けます。
Q4
○問い
遺言を書きたいのですが、書き方に決まりはありますか?
○答え
民法により定められた方式で書かれていなければ、法的に効力のある(有効な)遺言書とはいえないので、注意を要します。また、遺言に記載できる事項も法律で決められており、それ以外の事項は、法的な意味を持たないので、きちんと確認して記載しましょう。
また、文言が不明確な場合などは、遺言者の意図とはかけ離れた解釈がされたり、争いのもとになる危険があるので、注意しましょう。
基本的には、遺言は、自分の最後の意思として重要なものなので、公正証書遺言という方式で残すことをお勧めします。
Q5
○問い
認知症の母親(父親)が書いた遺言も有効となるのですか?
○答え
遺言を書くためには、遺言能力が必要であり(民法963条)、そのような能力がない人が書いた遺言は無効になる可能性があります。
この場合、認知症という診断がなされているからといって一概に無効であるとは限りませんが、認知症の進行度など様々な事情を考慮し、遺言が無効とされる裁判例も複数出されています。
Q6
○問い
同居して面倒を見てくれている子に、より多くの財産を相続させたいと思うのですが、可能でしょうか?
○答え
その旨の遺言書を書くことで可能になります。
遺言によって法定相続分とは異なる相続分を指定することができます。但し、他の子の遺留分額を超えた相続分を指定した場合には、その他の子らに遺留分を請求する権利が発生しますので、注意が必要です。
Q7
○問い
遺言を書きなおすことはできますか?
○答え
何度でも書き直すことができ、例えば、新しく作成した遺言で前に書いた遺言を撤回することも出来ます。
また、被相続人の死後、複数の遺言書が見つかった場合、日付の最も新しいものが有効となります。但し、後で問題が起きないように、新しい遺言書を作成した時点で、古い遺言書を破棄する方がよいでしょう。
Q8
○問い
遺言が見つかった場合、どうすればよろしいでしょうか?
○答え
遺言書が見つかった場合、保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません(民法第1004条第1項)。
「検認」とは遺言書の現状を確認し証拠を保全する手続きです。
なお、これを経たからといって遺言の内容が有効と確認されたものではないとされています。
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています(民法第1004条第3項)。
なお、公正証書遺言の場合、検認の手続は必要ありません(民法第1004条第2項)。
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